教育知識論述式問題
教育知識論述式問題
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- 1、学科教習の4段階法(50%)
- 2、教習所教育の特殊性(50%)
- 3、技能教習における安全運転のしつけ(50%)
- 4、質問の技術(50%)
- 5、教材の活用(50%)
ここに示す解答例は、指定自動車教習所実務必携に基づいてまとめました。関係資料等も参照して、自分の文章をまとめる際の参考として下さい。
学科教習の4段階法(50%)
1時限の学科教習を、効果のある充実した時間とするためには、教習方法に計画性と、巧みな演出がなければならない。
一般に「教習の4段階法」とよばれる段階教育法は、教育効果を高め、教習生に充実感、満足感を与える教育法として、特に集団学習に広く取り入れられている。
1時限の学科教習は、次のような4段階に区分して実施するのが効果的である。
第1段階(学習の導入)
スポーツを行う場合の準備体操が学習での導入に当たる。
導入の具体的方法は、おおむね5分程度の時間で、次のような方法によって行う。
@軽い話題(必ずしも教習項目との関連は必要ではない。ただし、あまり長くなると逆効果)を、笑顔で披露する。
Aその時限の教習重点を簡潔にまず説明する。これが一般的導入の形である。
B新鮮で身近な交通のニュースや事例(教習項目に関連する問題)を冒頭に話して、興味をひき出す。ニュースは新鮮で身近なものでないと導入としては無意味である。
この段階は、導入によってひき出された教習生の学習意欲をさらに高め、教習内容を理解させる段階教習の中核である。
教習内容の本筋は次のような方法によって行う。
@重点的な学習
教習項目の重要度・必要度に応じた学習を行う。
A反応をみきわめる
指導員の一人舞台や一方通行の授業にならないようする。
B覚えさせるコツ
問題の焦点を絞り、順序よく、理論的な授業展開をする。
C他の教習項目等との関連
他の単元との関連を示し、広い視野で総合的な理解を得るようにする。
第2段階で教習した内容の本筋は、この段階で具体的に応用し、反復実習することによって身に付いたものとなる。
第3段階は、第2段階と、またときには最終段階(まとめ、効果の確認)と並行的に行われることが多いが、記憶に残すための最も重要な段階である。
特に、第3段階は、実際の交通の場を前提として、教材や、交通事故事例などを適切に活用し、教習生に「運転者としての立場」に立って考えさせ、理解させる必要がある。
@視覚にうったえる
人間の情報入手と記憶は、視覚からの情報が最も効果的である。
A事例の活用を行う
指導員の経験談等の生々しい事例の紹介は教習生の記憶に残る。
第2、第3段階は、1時限の教習の中心であり、約40分間をこれに当てるように計画する。
40分〜45分を経た時点で、締めくくり、まとめを行い、教習生の理解の程度と学習効果を測定して、所期の目的が達成できたかどうか確認する。
@学習内容のまとめ
重要な内容として特に強調した事項については、もう一度整理してめくくりを行うこと。
A質問に対する反応
重要な項目については、まとめに併行して、全員又は一部の教習生に対して質間し、その理解度を測定すること。
B簡単なテスト
教習項目について、質問に類似した簡単なテストを実施することも、教習効果確認の1つの方法である。
以上の3点を活用してまとめを行う。第4段階は、テストを含めても5分〜10分間程度でしめくくりを行う。
以上「学科教習の4段階法」終り
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ここに示す解答例は、指定自動車教習所実務必携に基づいてまとめました。関係資料等も参照して、自分の文章をまとめる際の参考として下さい。
教習所教育の特殊性(50%)
指定自動車教習所(以下、「指定教習所」という)の職員の使命は、それぞれの職務を通じて初心運転者の教育に従事し、安全な運転者を育成するところにある。
したがって職員はその使命を達成するためには、まず指定教習所の教育の特殊性について理解する必要がある。
1、学習目的の同一性
指定教習所における教育目的は、道路交通法令を守り、社会的な責任を自覚した安全運転者の育成である。
一方、教習生は免許を受けた後の目的は千差万別であるが、教習生として入所している間の目標は、免許を受けるための知識、技能の習得にあることは変わりはない。
つまり、両者は免許に関して学習するということにおいては同一の目的を持っているのである。したがって教習所としては免許を受けるためだけの漫然とした教習ではなく、きびしく、かつ、温かみのある教習環境を作る努力が必要である。
指定教習所の教習生は免許取得資格を有する全ての領域にわたる人々であり、個々の教習生の間には、資質、能力においていろいろな差が見られる。
そのような教習生を同一の教習目標に到達させるためには、個々の教習生の持つ資質、能力に応じた適切な教習が行わなければならない。
指定教習所と教習生のつながりは、いかに理想的な表現をしたところで、残念ながら打算による連帯が強いことを認めざるを得ない。
教習所の役割は、極めて重要なものであり。かつ交通安全対策の主要な部分を担当していることを認識させ、誤った理解をしている教習生に対して、教習所活動の真の姿を示す熱意と努力を忘れてはならない。
そのためには、指導員自身に運転技術、及びそれに関連する諸原理、法則について豊富で高度な専門的知識による合理的な解決のできる教習能力が要求される。
安全運転者を育成するために、効果的な教習を行うためには、指導員と教習生の間に良好な人間関係を築き、誤解を招かない教習に努めたい。
以上「教習所教育の特殊性」終り
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技能教習における安全運転のしつけ(50%)
技能教習においては、教習の全期間を通じて人命尊重、法規履行運転、ゆずり合いの精神や運転マナーを実際に身につけさせ、より安全に行動のできる運転者を育成することが大切である。
1、遵法とマナー
教習生は誤った権利意識や優越感、あるいは自己中心主義の考えから脱却して、交通法規を正しく理解し、すすんでこれを実践するとともに、運転者としてのマナーを身につけさせることが最も大切である。そのために指導員は、初期の段階でのしつけ教育の重要性を認識して教習することが大切である。そのためには以下の点に留意する。
(1)教習生に遵法精神や運転マナーの必要性について、具体的な事故事例等によってよく理解させること。
(2)基本操作の段階から法規無視や運転マナーの悪さについては厳しく指摘し、是正させるとともに、絶対に看過しないこと。
(3)路上教習では何ごとにまして遵法運転と運転マナーが優先することを強調し、実践させること。
指導員自ら、常に教習生の監視のなかで運転していることを念頭においた模範運転を行い、これを見習わせ、体得させることが最も効果的な方法である。
安全な運転者育成のために重要な路上教習は、以下の点に留意し、万全の注意を払って事故防止に努めなければならない。
(1)常に自らハンドルを握っている以上の注意力と緊張を保つこと。
(2)交通の動き、流れが教習所内と異なり、ときには他の交通が予想外の動きをすることをあらかじめ認識しておくこと。
(3)指示や援助操作の時期が遅れないよう、早すぎるくらいの措置が必要であること。
(4)教習中の事故防止の「かまえ」に常に注意すること。
(5)教習生の技量を過信しないこと。教習生は指導員に依存しつつ、一人前だと思う複雑な心理状態にある。
(6)老人、子供、自転車等の交通弱者に対しては特に注意を払うこと。
(7)教習時限の後半には、教習生は精神的疲労から判断力がにぶっているので特に注意すること。
(8)指示、助言、注意のタイミングをよく考えて行い、教習生の判断や操作の妨げにならないようにすること。
(9)教習に無関係な雑談や心理的圧迫を生ずる指示、注意などによって教習生の気持ちを乱さないこと。
常に自分を防御して事故を未然に防止しようとする運転方法は、自分も他人も同時に救うことができ、事故防止はこの防衛運転能力を運転者が身に着けているか否かで決まる。そのためには危険の敏速な予測と適正な判断、効果的対処方法の教育を反復的に行わなければならない。
教習指導員となり、技能教習を行うときは、以上の点を忘れることなく、安全運転者の育成に努めたい。
以上「技能教習における安全運転のしつけ」終り
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質問の技術(50%)
質問は、相手の意思を確かめるための対話であるが、特に学習における質問は、教育の効果を高めるために有効な手段である。指定教習所の学科教習における質問は、教習効果を高め、学習意欲を促進するとともに、教習の理解度を測定する上で重要な教習法である。
1、質問の重要性
質問に対して答えが出せず、困ってしまったときと、上手に正しい答えを出すことができたときの満足感、成功感とでは、教習生の心理は大きく違う。指導員の質問は、両刃の剣ともいうべき大きな力のあることを知っておき、教習生の学習意欲をより高め、飛躍への足がかりとなる場合と、逆に、教習生の感情を害し、自信を失わせ、教習意欲を低下させる場合とがあるから学科教習における質問の重要性を認識し、効果的に行うように配慮しなければならない。
質問は、教習生の理解の程度や、教習内容等をみきわめつつ、次のような目的の場合に行うことが有効である。
(1)教習生の注意を呼び起こし、教習内容に注意力を集中させようとするとき。
(2)教習事項を理解させるため、教習生の考えにヒントを与えて指導するとき。
(3)教習生の理解の度合いを測定するとき。
(4)教習生の共通した学習上の短所を発見するとき。
(5)教習内容の段階の区切りを知らせ、それまでの教習内容を理解させるとき。
(6)教習効呆を随時に測定するとき。
次に、この目的を達するための効果的な質問の内容は、
(1)質問の目的が明確で、教えた内容で答えられる質問
(2)「やさしい」言葉を用い、相手に質問の意昧がはっきっわかる質問
(3)教習生の能力に適した質問
(4)単純な内容の質問
(5)暗記していなくても、内容を理解していれぱ答えられる質問
であることが必要である。
(1)質問の仕方
ア、全教習生に向かって質問し、反応を示した者を指名して答えさせる。
イ、質問に対して誰も反応を示さない場合は、少し間をおき、特定の者を指名して答えさせる。
ウ、指名して答えさせるときは、まんべんなく指名するようにする。
エ、指名して答えさせるときは、指名の順序が同じにならないようにする。
オ、指名された者が、質間に答えられないと思われたときは、すばやく他の者を指名し、全員の中で恥をかかせないようにする。
カ、答が間違っていても、すぐ誤りを指摘しないようにする。注意力の劣る教習生に、繰り返して指名しない。
(2)質問の受け方
ア、質問者だけでなく、全員に聞こえるように答える。
イ、1人の質問だけに、あまり長い時間をかけないようにする。
ウ、教習内容に直接関係のない質問や、適当でない質問は、その旨はっきり答える。
エ、教習生が正確に理解できるよう、要点を明確に答える。
オ、よい質問は、卒直にほめる。
カ、不明確なことについては、答を保留し、後刻調べてから答える。
以上「質問の技術」終り
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ここに示す解答例は、指定自動車教習所実務必携に基づいてまとめました。関係資料等も参照して、自分の文章をまとめる際の参考として下さい。
教材の活用(50%)
心理学上の実験データによると、人は覚えているものの75パーセントまでは視覚によるもので、聴覚によるものは13パーセントにすぎないといわれている。
特に、テレビ時代、漫画時代といわれる現代は、すべての人々が視覚による情報入手になれており、他の方法では効果が少ないので、学科教習も視聴覚による教習が大きなウェイトを占めなければならない。
このためには、教材、とりわけ視聴覚教材の整備と活用に配慮しなければならない。
1、教材の効果な利用
教本はすぐれた価値と機能とを備えているが、視聴覚教材は、むしろ教本では効果的に伝えにくいことを効果的に伝えたり、あるいは、教本では表現できない内容を的確に表現するところに独自の役割を発揮するのである。視聴覚教材の役割は、
(1)学習への動機づけに役だち、学習活動を積極的にする。
(2)理解や思考を助け、知識や技能の習得を確実なものにする。
(3)学習上の落差を縮める。
(4)指導員を援助して、指導の能率を高めてくれる。
視聴覚教育に使う器材は色々あるが、指導員の熱意と努力さえあれば、比較的簡単に研究・開発ができ、かつ、学習内容を示すのに効果のあるのがパワーポイントである。
(1)パワーポイントの特性
パワーポイントは、視覚的な資料をスクリーンに映写して印象的に受け取らせ、集団による学習の効果を高めるために有効なものである。文字だけを提示するのではなく、写真や図版、動画等も採り入れることで魅力的な教材を作成することができる。
(2)トランスペアレンシーの特性
パワーポイントが使用できない環境では、従来のトランスペアレンシーを使用する。トランスペアレンシーは、
ア、教室を暗くしなくても明るく鮮明な映像が得られる
イ、投影機とスクリーンの距離が短くてすむため、指導員が、教習生の反応を確かめながら指導できる
ウ、投影しながら、シートに自由に記入したり消したりすることができる
エ、自作が比較的容易である
(3)自作のポイント
教材を自作するには、@既成教材がない場合、A既成教材があっても、表現がその指定教習所の教習生にとって適切でない場合、B身近なものやその地方の特色をとりあげる場合、C自校の教習計画や学習展開に合わせる場合、などにしぼるとよい。
言葉での説明では不十分になりがちな点を補い、より具体的な知識として印象づけて記憶させる手段が教材である。
指定教習所においては教本や視聴覚教材を整備して、教習水準の高度化と均一化を図り、教習生に対して限られた教習時問内にできるだけ豊富な知識を与えるように努めねばならない。
以上「教材の活用」終り
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